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未解決事件の代名詞・3億円事件の犯人をなぜ捕まえられないのか?
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”3億円事件”といえば、誰もが一度は耳にしたことがある事件ではないだろうか。新聞、雑誌、テレビなど各方面のメディアで騒がれ、映画化までされている超がつくほどの有名窃盗事件である。なぜここまで有名なのか-3億円事件は、1968年12月10日に東京都府中市で発生した窃...
kininarumon0
2015-04-13T04:49:47+09:00
3億円事件
なぜここまで有名なのか-
3億円事件は、1968年12月10日に東京都府中市で発生した窃盗事件である。3億円は当時の価値にすると、なんと10億円・・・!! 1968年の大卒初任給の平均が3万600円だったことを考えるとすさまじい金額である。金額もさることながら、ここまでテレビや雑誌等のメディアで騒がれ、”20世紀最大のミステリー”などと揶揄されるのは、未だに未解決事件だからである。事件発生から7年後の1975年12月10日に時効を迎えているため、たとえ今現在、犯人が生きていたとしても、今の法律では永遠に捕まえることはできない。
空になったジェラルミンケース
では、3億円事件の犯人とは一体誰なのか?事件を詳細に振り返りながら、犯人像に迫っていこう。
【事件の概要】
- 事件発生日:1968年12月10日 午前9時30分
- 場所:東京都府中市、府中刑務所の北
- 被害額:2億9430万7500円
現金輸送車に積まれた東京芝浦電気(現・東芝)従業員のボーナス(約3億円)が白バイ警官に変装した犯人に奪われた事件。当時としては最高額の現金強奪事件である。
【3億円事件の流れ・詳細】
12月10日午前9時、1台の現金輸送車が日本信託銀行国分寺支店(現・東京三菱UFJ)から東京芝浦電気(現・東芝)の府中工場へ、工場従業員のボーナス約3億円を乗せ向かっていた。
午前9時30分、現金輸送車が府中刑務所の裏側にあたる通称・学園通りに差し掛かったとき、1台の白バイが後方から輸送車を追い越し、前を塞ぐようにして停車した。
白バイの後部にはグレーのボディカバーを引っ掛かっていた。このボディカバーの中からは、後に犯人がかぶっていたとみられるハンチング帽が発見されている。
運転手が窓を開け、白バイ隊員に「どうしたのか」と尋ねた。すると、「あなたの銀行の巣鴨支店長宅が爆破され、この輸送車にもダイナマイトが仕掛けられているという連絡があったので調べさせて欲しい。」と言って、輸送車の車体下部を捜索し始めた。
運転手と銀行員はその白バイ隊員のことを少しも疑いはしなかった。なぜならこの4日前に、脅迫状が日本信託銀行・巣鴨支店長宛と国分寺支店長宛に届けられていたからである。そのことを知っていたからこそ、ダイナマイトが仕掛けられているという偽白バイ隊員の嘘にあっさり騙されてしまったのである。
程なくして、白バイ隊員は隠し持っていた発煙筒に点火。「爆発するぞ!早く逃げろ!」と言って運転手・銀行員らを避難させた直後に輸送車ごと強奪。白バイを現場に残したまま、その場から逃走した。当初、運転手やその場にいた銀行員は白バイ隊員が「自分達から爆弾を遠ざけるために輸送車を退避させた」と勘違いしていた。しかし、バイクに詳しかった運転手が白バイが偽物だと見抜き通報。事件発生から約20分たらずの午前9時50分、東京都全域に緊急配備が敷かれることとなった。
警視庁は各所で検問を実施したが、犯人が盗難車を次々と乗り換え、検問の網をかいくぐるように逃走。車の乗り換えは想定外だったため、犯人を捕まえることができなかった。
事件の捜査にあたった警察官は延べ17万人、捜査費用は延べ9億円にのぼるが、1975年に公訴時効成立、1988年に民事時効が成立している。
※なお、現在の現金強奪事件の最高額は、2011年5月に発生した立川6億強奪事件の約5億9953万円である。
【犯人への手掛かりとなる遺留品が数多く残されたた現場】
現場に残された遺留品は犯人へつながる重要な物的証拠となる。3億円事件の犯人が現場に残した遺留品は120点にものぼる。しかしながら、犯人検挙には至っていない。主な遺留品を10個挙げた。1つずつ見ていこう。
①ヤマハスポーツ350R1
犯人が現金強奪時に使用した偽の白バイ。事件の約3週間前に盗難されたものとみられ、本物の白バイに似せるために塗装を施してあった。(元の色は青)
ここで1つの疑問が生まれる。犯行に使用されたバイクは「ヤマハスポーツ350R1」だが、当時の警察が使用していた本物の白バイは「ホンダCB350」である。なぜ本物のバイクにしなかったのか?あるいはなぜ同じホンダ製にしなかったのか・・・?
実は、事件の約1か月前の11月9日に「ホンダドーリーム」という白のオートバイが盗難されており、この白バイを本物に似せるため改造しようとしたと思われる。しかし、このオートバイの持ち主によると、以前からエンジントラブルがあったと証言している。犯人はこの不具合に気づいたため、仕方なくヤマハスポーツ350R1を改造したとみられる。
②メガホン
白バイの広報用スピーカーに見せかけるために取り付けられていたもの。トーア製のトランジスタ・メガホンER-303。しかし、本物の取り付け位置とは左右逆につけてしまっている。製造番号から5台が出回っていることが判明。内1台が東村山市の工事現場で盗難に遭っており、これが犯行に使用されたとみられる。
③クッキー缶
白バイの書類箱に見せかけるために取り付けられていたもの。クッキー缶のメーカーは明治商事であることが判明。流通数は約3万個だったため、購入者を特定することは非常に困難と判断された。
④ハンチング帽
偽白バイの後部に引っ掛かっているボディシーツ。この中からハンチング帽が見つかった。
犯人のものと思われるハンチング帽。現場で見つかっており、犯人の汗が付着していた可能性が高い。汗から犯人の血液型を特定することが可能だったが、鑑定前に刑事同士で交互に被ることで鑑定不能にするミスを犯してしまう。大阪市東成区で製作、54個出荷の内、18個が東京の立川市で販売されていたことがわかっている。
⑤発煙筒
現金を運んでいた運転手・銀行員を「ダイナマイトだ!爆発するぞ!」と脅迫した際に使用したもの。日本カーリット保市ヶ谷工場製であることが判明。ガソリンスタンドなどで4190本売られていた。発煙筒の巻紙に使われていたものはNHK「電波科学」昭和43年7月号の付録であるテレビ回路図だった。
⑥脅迫状
3億円事件の4日前に日本信託銀行の国分寺支店長宛に送りつけられていた脅迫状。”翌7日午後5時までに指定の場所に300万円を女性行員に持ってこさせないと、支店長宅を爆破する” という内容。文字は雑誌の切り貼りで作られていたが、その雑誌と発煙筒の巻紙に使われた雑誌が完全に一致。脅迫状を送った犯人と現金輸送車を襲った犯人は同一であることが結論づけられた。また、脅迫状に唾液の痕跡があり、鑑定した結果、B型の血液型を検出。
⑦現金輸送車
乗り捨てられた黒の現金輸送車(セドリック)
犯人が第2現場(国分寺市西本町・国分寺史跡七重の塔近くの本多家墓地の入り口)で、現金輸送車から盗難車のカローラに乗り換えたと見られる場所で現金輸送車が乗り捨てられているのが発見されている。事件直前には濃紺のカローラが周辺で目撃されている。
⑧濃紺のカローラと3台の盗難車
犯人が現金輸送車から乗り換えた車。ナンバーは「多摩5ろ3519」。事件から約4か月後、小金井市本町4-8の空き地で発見された。車内は現金が入っていたと思われる空のジェラルミンケースが残っていた。他にも盗難されたと思われる車が小金井で3台見つかっている。ブルーバード、プリンススカイライン2000GT、プリンススカイライン1500である。それぞれシートカバーで覆われていたため発見まで遅れた。カバーシーツのヒモの結び方を比較したところ、結び方が異なったため、複数犯の疑いが強まった。
⑨ギャンブル雑誌
小金井で発見された盗難車の1つ・プリンススカイライン2000GTの中から競馬雑誌や平和島競艇のチラシ等が発見された。車の持ち主を聴取したところ、身に覚えがないと証言したことから犯人がギャンブルを愛好していた可能性が浮上した。
⑩イヤリング
小金井で発見された盗難車の1つ・プリンススカイライン1500の中から女性物のイヤリングが発見された。車の持ち主を聴取したところ、身に覚えがないと証言したことから、犯人グループに女性が関与している可能性が浮上した。
以上、ここまで大量の遺留品がありながら、犯人を特定できない大きな要因は、明らかな初動捜査ミスと購入者を特定するのが困難な大量流通品が犯行に使用されたからではないだろうか。警視庁は事件発生後、速やかに東京都全域に検問を実施したが、犯人が現金輸送車から別の車へ乗り換えることを想定していなかった。また、遺留品の1つであるハンチング帽を無下に扱ってしまったことは現場のミスである。
1960年代は、「流通革命」といわれる商品の大量生産・大量流通というスタイルが一気に浸透していった時代。そんな流通革命時代の弊害の1つが3億円事件だといえるのではないだろうか。
有益な目撃情報の数が少ないことも捜査を困難にさせた。下記に有益な目撃情報を3つ挙げる。
①犯人が現金輸送車から濃紺のカローラに乗り換えたと見られる小金井の現場付近で、泥水を車に跳ねられた通行人の主婦がナンバーを控えている。これが後に、偽・白バイ隊員が奪った現金輸送車であったことが判明している。
②また、造園業を営む親子が国分寺市で濃紺のカローラと接触事故を起こしかけている。カローラは猛スピードで国分寺街道方面に走り抜けていったという。この時、この親子は運転手の顔も目撃している。それによると運転手は若い長髪の男で黒っぽい服を着ていたという。
③最後に犯人が目撃されたのは、杉並区内の検問所である。そこで ”銀色のトランクを積んだ灰色のライトバン”を補足したが突破された。これが最後に目撃された犯人の姿である。
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